yuers スニーカーの第三勢力を目指す真摯なファクトリーブランド 後篇
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こんにちは。YUENサポートスタッフの長谷川です。
今回は先日のインタビューの後篇をご紹介します。
前回のインタビューはコチラ
yuers スニーカーの第三勢力を目指す真摯なファクトリーブランド 前篇
ブランドを作る発端となったのは単純な「理想の追求」ものづくりを続けてきた株式会社EST代表の忠津さんのあくなき探求心がブランドを作る発端となっていました。その理想とはファッションスニーカーでありながら、徹底したユーザビリティとデザインの融合。
その具体性をさらに深めていくためにインタビューは続きます。
長谷川「最近、yuersで発売したSOON、LEAVES、LOOMERについてお話を伺います。まずyuersのデザイン哲学として、「ユアーズのスニーカーはアーカイブされた過去のマスターピースをベースに、現代的な素材とディテールでアップデートさせ、タイムレスな魅力はそのままに、今履きたい理由(故、yue)を追求したデザインです。」という記述がありますが、この3モデルも同じ解釈で良いのでしょうか?それならどのようなモデルをサンプリングしたんですか?」
忠津「特定のブランド名はさすがに出せないですけど、全てベースとなるマスターピース的なモデルはありますよ。LEAVESはヨーロッパのトレッキングシューズメーカーのものをベースにしています。LOOMERは見ての通りですがジャーマントレーナーがモデルとなっています。SOONは往年の名作スリッポンをベースにしています。」
長谷川「ありがとうございます。やっぱりブランド名は出せないですよね。ジャーマントレーナーは確かにわかりやすいです。」
忠津「LOOMERのようにベースが分かるとより一層、yuersらしさがどう足されているのかが分かりやすいですよね。」
長谷川「ユーザビリティとデザインの融合、とおっしゃっていた部分が見るだけでも何となく理解出来ます。ポイントとなるのはやはりビブラムソールとFREE LOCKやクイックレースなどの仕様なのでしょうか?」
忠津「確かにその2点は大きなポイントではあるんですけど、事はそう単純ではなくて(笑)確かにビブラムソールとFREE LOCKなどの仕様は大きな特徴なんですが、それを導入すればユーザビリティが高まるという単純なものではなく、例えばビブラムソールを使うにしても、ミッドソールとアウトソール、コンパウンドともいうんですけど、外側と中身の組み合わせによっても大きく変わります。」
長谷川「タイヤでもコンパウンドとか言いますよね。いわゆる路面に接地する部分かと思うんですが、ミッドソールはクッション性などの機能を持つ部分ですよね?」
忠津「そうですね。コンパウンドはまさにタイヤと同じように、使うシーンによって求められる機能が変わります。スタッドレスとか街乗り用タイヤとかいろいろあると思うんですけど、スニーカーのコンパウンドもタイヤと同じようにたくさん種類があるんです。ミッドソールもスニーカーにおいて非常に重要な部分、クッション性や重量、あとは保形性などが大きく変わってきます。」
長谷川「クッション性と重量は分かりますが保形性とは?」
忠津「とても単純な話なんですが、クッション性を持たせるにはやわらかさや弾力が必要です。短時間の競技用などと違って、ファッションスニーカーは大体、皆さん終日同じ靴を履かれるわけですけど、長時間履いていてクッション性があったはずのミッドソールの形が型崩れしてしまったり、クッション性が損なわれていったりしてしまうと、、良いスニーカーとは言えませんよね?」
長谷川「なるほど。コンパウンドとミッドソールを、そういった機能とデザインで照らし合わせながら配合していくんですね。」
忠津「そうです。でもそれだけでも無くてもっといっぱいあるんです(笑)例えばクッション性の高いミッドソールを使っても、アッパーのフィット感や、ヒールカップ、踵部分ですね、ここがフィットしていないとスニーカーの中で足がグラグラと動いてしまう。クッション性が強いとなおさらなんですが、ソールに合わせたアッパーの素材選び、木型やヒールカップの形づくりも非常に重要です。」

長谷川「うーん。。むずかしいですねえ…」
忠津「じゃあ分かりやすくSOONで説明してみましょう。SOONのコンパウンドはビブラム社のXS-TREKというアウトドア用のものを使っています。とてもバランスの良いコンパウンドで、頑強な見た目に対して硬度も高くなく、長時間歩行でも疲れにくい。街履きのアウトドアスニーカーにとても最適なコンパウンドです。泥や水はけを考えたコンパウンドは全天候型というか、非常にマルチに活躍できるものですね。そのXS-TREKにLCS(Long lastingCompression Set)というミッドソールを配合してます。これは十分なクッション性を持ちながらも非常に高い保形性を持っていて、長時間使用しても高いクッション性を保持できます。街履きに最適ですね。」
長谷川「アウトドア用の本格的なコンパウンドを街履きに落とし込んだ最適な配合、という認識でよいですか?」
忠津「そうです。僕らが作っているのはあくまで街履きのファッションスニーカーです。SOONを履いて本格的な登山をしてほしいとはもちろん思っていません。そもそもスリッポンなので本格的な登山に向いたものではないですしね。ですがちょっとした登山ならスリッポンなのに実現してしまう程、機能性にはこだわっています。ソールは今説明した通りですが、ソールの機能性を最大限生かすためにシュータン内側にあるエラスティックは1本にし、スリッポン特有のずれを軽減してます。着脱しやすくてフィット感のある靴、というのは本来とても矛盾したことでもあるんですけど、細かな工夫で理想に近づけています。」
長谷川「マスターピース的なデザインをサンプリングし、軽い登山なら出来てしまうほどの機能性と、長時間街履きしても疲れないソール配合、着脱しやすくてフィット感がある靴、、、とても贅沢というか盛りだくさんな魅力ですね。確かに冒頭にお聞きしたyuersのデザイン哲学がすべて入っているように思います。」
忠津「今履きたい理由(故、yue)というのは結局、僕の欲張りというか、過去のマスターピースは間違いなくタイムレスな魅力はあります。ただ、時代は変わっていきますし、当時履き心地が良かったと言われてるものだったとしても、現代の技術ではさらに良いものを作れる。こんなのがあったらいいな、の連続なんだと思います。」
長谷川「やっぱりそこに戻るんですね(笑)そのシンプルな欲求でブランドを立ち上げて、ここまでしっかりとしたプロダクトに仕上げていくことは本当にすごいことだと思います。」
忠津「僕にはyuersを作っていく上で本当に頼りになる仲間がいるので、そこはとても助けられています。yuersを作ろうとした発起人は僕なんですが、同じような思いを持っていた仲間が集まってここまで作り上げることが出来ましたんです。」
長谷川「デザインチームのような形をとっているということですか?」
忠津「またちょっと違うんですが、僕が生産のプロ、とにかくデザインや機能を形にするプロです。もう一人はスニーカーのプロ、過去のアーカイブや配色、ディティールなどに精通しているプロがいます。もう一人はマーケティングのプロ。スニーカー市場を熟知しているプロがいます。この3人が混ざりあいながらyuersは出来上がっていくイメージです。」
長谷川「それぞれ違う得意分野やスキル、視点を持った3人が集まって、理想を追求し、形にしていくんですね。これは強いなあ。。」
忠津「ものづくりをしていても楽しいですしね。みんな自分なりの理想があって叶えたかった人たちの集まりですから、間違いなく個性は強いし、熱量も高い。その分面白いものが作れると思っています。始まったばかりのブランドですが、自信を持ってお勧めできる仕上がりなので、どうかご期待ください。」

単純な「理想の追求」から始まったブランドであるyuers
インタビューを終え、単純な発端に対して、非常に真摯で、綿密で、具体的で、繊細なお話をたくさん聞くことができました。記事には書ききれないほどに。
子供のころに誰しも「夢」や「理想」を掲げたり目指したりした経験はあるはずですが、多くは漠然としたままその夢は消えてしまいます。本気で目指し、行動し続けることによって漠然としていた夢や理想に対しての具体性が浮かんでくる。「夢」をかなえるためにはあとどのくらいの努力やスキル、時間が必要なのか、どんどんと具体的になってくるものだと思います。
経験豊富な大人(プロ)たちが集まり、「夢」や「理想」を追求しようとするyuersは驚くほど真摯で、綿密で、具体的で、繊細なアプローチを続けています。
経験豊富な大人(プロ)たちの「夢」や「理想」を具現化したyuersの今後にぜひご期待ください。